今回は「睡眠薬」のテーマで勉強したことを皆さんにアウトプットしていきたいと思います。
睡眠薬は精神科医以外の内科のDrからの処方も多く、漫然と処方されがちです。
耐性ができ、依存形成が出来上がっている患者さんも結構おられます。
睡眠薬も適正な使用が出来ていないことが多いのが現状です。
最近は睡眠薬も新たな薬も増えてきていますので、
薬剤師の立場として皆さんにお伝えするとともに、
きちんとイチから勉強しなおそうと思います。
不眠のこと、睡眠薬のこと、睡眠薬の注意事項とその対処法に関して
睡眠薬を勉強したいと考えている薬剤師さん、また睡眠薬を服用されている方にも参考になればと思います。
抗うつ薬に関して気になる方はこちらをどうぞ!(*’ω’*)↓
不眠とは?
不眠:眠れないということ自体がストレスになり、そのストレスがさらに眠りにくい状態を引き起こすという負のループを引き起こしている状態のこと。
多くの睡眠障害を専門とするDrは、睡眠衛生(睡眠環境の整備やリラックスできる環境を作るなど)の指導を行うのが望ましいと考えています。
睡眠薬の種類
ベンゾジアゼピン系睡眠薬:睡眠薬の主流
作用
・催眠作用
・抗不安作用
・筋弛緩作用
睡眠薬と抗不安薬の考え方
・睡眠薬:催眠作用>抗不安作用
・抗不安薬:抗不安作用>催眠作用
言葉の上では違うとしても、多くはベンゾジアゼピン系です
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の種類
基本ベンゾジアゼピン系睡眠薬は1種類で使うことが原則で、やむを得ない場合でも2種類以下にします。(作用時間が短いものと長いものも併用をすることはありますが、併用で効果が高まるということはないです。)
・超短時間作用型(約2-4時間):トリアゾラム(商品名ハルシオン)
・短時間型作用型(約6-10時間):ブロチゾラム(商品名レンドルミン)
・中間作用型(約20-30時間):フルニトラゼパム(商品名サイレース、ロヒプノール)、エスタゾラム(商品名ユーロジン)
・長時間作用型(約30時間以上):クアゼパム(商品名ドラール)
一時的な不眠の場合→超短時間作用型、短時間作用型を数日使用
超短時間作用型、短時間作用型は依存を形成しやすいため、一時的な使用にとどめることが大事。
心理的なストレス、精神疾患が原因の不眠→長時間作用型を使用(効果不十分の場合は抗うつ薬や抗精神病薬などを使用することもあり)
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬
べンゾジアゼピン系睡眠薬に比べて、催眠作用に関わるGABA受容体のサブタイプの
ω1に選択的に作用する(筋弛緩作用に関わるω2には作用しない)ため、筋弛緩作用が少なく、安全性が高いです。
:ゾルピデム(商品名マイスリー)、ゾピクロン(商品名アモバン)
ゾピクロンのS体のエスゾピクロン(商品名ルネスタ)→GABA受容体に対する結合スピードと結合力がつよく、筋弛緩作用が少ない。耐性、リバウンド不眠、退薬症状が少ないので、減量中止がしやすいです。
上記の薬はすべて超短時間型の睡眠薬になります。
メラトニン受容体作動薬
メラトニン受容体を刺激して、催眠効果を促します。作用点が違うため、筋弛緩作用、記憶障害などの副作用はありません。ただし、身体依存はないものの精神依存は認められているそうです。
昼夜逆転している場合などによく使われます。
ラメルテオン(商品名ロゼレム)
オレキシン受容体拮抗薬
オレキシン(神経伝達物質の一つで、覚醒に関与する神経系を活性化させ、覚醒を維持する)受容体の選択的拮抗して、覚醒を抑制することで睡眠を誘発します。
入眠障害だけでなく、中途覚醒や早朝覚醒にも効果があります。
スボレキサント(商品名:ベルソムラ)
睡眠薬で注意すべきこと
持ち越し(寝ぼけのような状態がつづくこと)
基本は長時間作用型に多いです。
(ただし、代謝が落ちた高齢者には短時間作用型でも長時間作用してしまうこともあります)
→この持ち越しの副作用によりぼけたと感じられたりするだけで、決して脳に変性を起こさせたり、認知症を招くことはないです。
筋弛緩作用
高齢者が強く出ます。転倒につながる恐れがあるため注意。
リバウンド不眠
急に睡眠を薬中止すると、リバウンド現象として不眠を生じることがあります。
アルコールとの相互作用
高容量の睡眠薬+アルコールにより、奇異反応(不安・焦燥↑、おびえ↑、攻撃的になる)が起こることがあります。
また、アルコールに耐性が起こると、睡眠薬にも耐性ができることがあります。
→睡眠薬とアルコールの併用は絶対だめです!!!!
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の耐性・依存と中止後の離脱症状に注意
ベンゾジアゼピン系睡眠薬を反復して服用をしているうちに、薬の薬効の持続期間が減少し、そのために増量が必要になってきます。→これを耐性といいます。
その耐性ができたのちに、依存が形成されます。
依存が形成されたのちに、薬を急な減量中止をすることによりおこる症状のことを離脱症状といいます。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の離脱症状としては、不安焦燥感、振戦、しびれ、けいれん、動悸、頭痛、発汗などがあります。
そういったことが起こらないように処方医は、薬は始めるときからやめることを想定して処方するべきですが、もうすでに依存が形成されている場合薬を中止するためにはゆっくりと減らすことが大事になってきます。
用量漸減療法
:超短時間型・短時間型のベンゾジアゼピン系睡眠薬の中止方法。漸減していく用量の1/4ずつを1-2週間くらいかけて、減らしていくというもの。
回数漸減療法
:長時間作用型のベンゾジアゼピン系睡眠薬の中止方法。服用する回数をへらし、徐々に薬をやめる方法。
置換中止方法
:多種類の睡眠薬を服用している状態から中止していくときに用いる方法。
①短時間作用型→長時間作用型に切り替えたり、依存が形成されにくい薬に切り替える(催眠作用のある抗うつ薬に切り替えるなど)
②そこから、薬剤を絞り込む
③用量漸減療法もしくは回数漸減療法へつなげて中止へ導く
まとめ
どうしても、睡眠薬は内科でも漫然と処方されることが多いですが、
精神科医や睡眠障害を専門とするDrは出来る限り薬は少なく、副作用・耐性・依存症状が生じないようにと考えているということを頭の隅に入れておきましょう。
どうしても、処方を薬剤師がするわけではないので、できることは限られているかもしれません。
しかし、患者さんからの睡眠薬の服用への不安などがあれば、きちんと相談に乗ってあげることと、医師にその旨を説明し、医師と相談しつつ少しずつ減量などを検討できたらいいですね。
参考図書
以下私が参考にした著書になります。
・一番やさしい薬理学:監修木澤靖夫:成美堂出版
特にこれがオススメです!→・精神科がわかる本:著 姫井昭男:医学書院
薬剤師なら一度は読むべき本!!!!
かなり色々な勉強になりました。
皆さんもぜひご参考に!!
最後まで読んでいただきありがとうございました。